エアアジアで一番よく聞くトラブルが、荷物です。
安いチケットを取れたのに、空港のカウンターで荷物を量られて、その場で追加料金を払うことになった。あるいは搭乗ゲートまで来て、そこで預けるはめになった。金額としては数千円の話なんですが、旅の入り口でこれをやると気分が最初から沈みます。
僕はタイに30回以上通っていて、その多くをエアアジアで飛んでいます。そして最初の数回は、見事に同じところでつまずきました。原因はシンプルで、「7kg」という数字の意味を勘違いしていたんです。
先に押さえておくこと
エアアジアの機内持ち込み7kgは、バッグ1個ぶんではなく「2個の合計」です。メインのバッグとサブのバッグを足して7kg。ここを1個あたりだと思っていると、ほぼ確実に超えます。さらに2026年4月1日から、日本発着の便に業界共通のガイドラインが2項目追加されました。そして——ネット記事でよく見る「身の回り品は奥行20cmまで」という数字は、エアアジアには当てはまりません。
「7kg」はバッグ1個ぶんではありません
まずここです。ここだけ持ち帰ってもらえれば、この記事の目的は半分達成されます。
エアアジア公式の案内には、こう書かれています。機内持ち込み手荷物1個と身の回り品1個の計2個、合計7kgまで。
つまり、機内に持ち込めるのは2個。ただし重さは2個を足した数字で見られます。リュックが6kgでも、そこに1.5kgのカメラバッグを足したら7.5kgで超過です。
僕が最初にやった間違いがまさにこれで、「バックパック7kgまでなら、あとは肩掛けカバンを別に持てばいい」と思い込んでいました。ぜんぜん違いました。

サイズのほうも2個それぞれに決まりがあります。
| 持ち込めるもの | 個数 | 最大サイズ | 重さ |
|---|---|---|---|
| 機内持ち込み手荷物(メイン) | 1個 | 56cm × 36cm × 23cm | — |
| 身の回り品(PCバッグ・ハンドバッグ等) | 1個 | 40cm × 30cm × 10cm | — |
| 合計 | 2個 | — | 7kgまで |
表にすると当たり前に見えるんですが、実際に空港で引っかかる人の大半は、この表の一番下の行を見落としています。
そしてもうひとつ、見落とされがちなのが身の回り品の「奥行10cm」。これは後でもう一度触れます。ここが今回いちばん大事な話になります。
2026年4月から、日本発着のルールに2つ足されました
2026年3月25日、定期航空協会が機内持ち込み手荷物の新しいガイドラインを発表しました。適用が始まったのは2026年4月1日からです。
対象は国内線と国際線の両方。つまり日本発のエアアジアも、当然この対象に入ります。
新しく足されたのは、次の2項目です。
2026年4月1日から追加された2項目
① 身の回り品は「前の座席の下に収納できる大きさの範囲内」であること
② 手荷物は「自分で頭上の棚に収納できるサイズ・重さ」であること
②のほうは、言われてみれば当たり前のことです。ただ、これが明文化された意味は小さくありません。
重すぎて自分で棚に上げられない荷物を、これまでは客室乗務員が手伝って上げてくれることがありました。それが「自分で収納できること」を前提にする、と書かれたわけです。無理そうな荷物は預けてください、という方向にはっきり舵が切られています。
①も同じ流れです。座席の下に入らないサイズのカバンを「身の回り品」と言い張るのは、もう通らなくなりました。
よく見る「奥行20cm」は、どこにも書かれていません
ここからが本題です。
この新ガイドラインを紹介している日本語の記事を何本か読むと、身の回り品のサイズについて「概ね縦35〜40cm × 横30cm × 奥行20cm程度」という数字がよく出てきます。業界の統一基準として定められた数字、という書き方をしているものもあります。
ところが、定期航空協会が出したリリースの原文を最初から最後まで読んでも、この数字はどこにも出てきません。
書かれているのは「前の座席の下に収納できる大きさの範囲内」という定性的な表現と、それからこの一文です。
> 詳細なサイズ・重量規定は、ご利用になる各航空会社にて規定いたします
つまり協会は数字を決めていない。決めるのは各航空会社です。

そしてエアアジアが決めている身の回り品のサイズは、40cm × 30cm × 10cm。
よく見る「奥行20cm」の、ちょうど半分です。
| 身の回り品のサイズ | |
|---|---|
| 定期航空協会(2026年4月〜) | 「前の座席の下に収納できる大きさ」(数値の指定なし) |
| ネット記事でよく見る数字 | 概ね 35〜40 × 30 × 20 cm |
| エアアジアの規定 | 40 × 30 × 10 cm |
ここが実害になります
「新ルールは奥行20cmまで」と覚えて空港に行くと、エアアジアでは倍の厚みのカバンを持ち込もうとしていることになります。奥行10cmは、思っているよりずっと薄い。パンパンに膨らんだトートバッグやミニリュックは、この時点でアウトになりえます。
正直に言うと、僕もこの記事を書くまで「20cm」のほうを何となく信じていました。一次情報に当たって初めて、そんな数字は誰も決めていないと分かった、というのが実際のところです。
7kgに何が入るのか、僕の中身
数字の話が続いたので、実物の話をします。
僕がエアアジアで飛ぶとき、機内に持ち込むのはこんな構成です。金額や日付を出せるほど几帳面に記録しているわけではないので、あくまで習慣として。
– メインのバッグ:着替え1〜2日ぶん、洗面まわり、常備薬、モバイルバッテリー
– 身の回り品:薄手のショルダーに、パスポート・財布・スマホ・イヤホン・本1冊
これでだいたい収まります。逆に、7kgをすぐ壊すものもはっきりしていて、僕の場合は決まって次の3つです。

ひとつめは本と紙。文庫本2冊とガイドブック1冊で、あっさり1kgを超えます。
ふたつめは水。保安検査を抜けた後に買ったペットボトルは、当然そのぶん重さに乗ります。搭乗前に量り直されることは普通ないんですが、ゲートで止められた時にこれが効いてくることはあります。
みっつめは充電まわり。モバイルバッテリー、変換プラグ、ケーブル類。これを全部ひとまとめのポーチに入れると、思った以上に重い。タイのコンセントと電圧まわりは別の記事で整理しましたが、「念のため」で持つアダプタが2つ3つになりがちなところです。
荷造り全体の考え方はタイ旅行の持ち物リストのほうにまとめてあるので、そちらと合わせてどうぞ。
家で量っておく、これだけ
キッチンスケールでも体重計でもいいので、出発前に2個まとめて量る。空港のカウンターで初めて数字を見るのが、いちばん高くつきます。
足りないときの選択肢と、値段が決まる順番
7kgに収まらない。これは別に失敗ではなくて、単に受託手荷物(預け荷物)を買えばいい話です。
問題はいつ買うかで、ここで金額がはっきり変わります。エアアジア公式のガイドには、こう書かれています。
> チケット予約時の購入が一番安く、予約の変更時、空港カウンター時と価格が上がっていく
金額そのものは路線や時期で動くので、ここでは数字を出しません。ただ、順番だけは公式が明言しているので、これは信じて動いて大丈夫です。
| 買うタイミング | 価格 |
|---|---|
| チケット予約と同時 | いちばん安い |
| 予約したあと、出発前にオンラインで追加 | 中間 |
| 空港のカウンターで当日 | いちばん高い |
| 搭乗ゲートで預けることになった場合 | ゲートでの手荷物料金が適用される場合あり |
いちばん下の行は、公式の案内にこう書かれているものです。規定を超える機内持ち込み手荷物は空港のチェックインカウンターで預けること、そこで預けなかった場合は搭乗ゲートで預かることになり、ゲートでの手荷物料金が適用される場合がある、と。
つまりゲートまで粘っても得はしません。カウンターの時点で怪しいと思ったら、そこで預けたほうが安く済みます。
なお、出発が近づくとオンラインでの追加ができなくなります。締切の時間は変わりうるので断定しませんが、「空港に着いてから考える」は最も高い選択肢だと思っておいてください。
運賃タイプによっては、最初から受託手荷物が含まれています。エアアジア公式のガイドでは、通常運賃が機内持ち込み7kgのみ、バリューパックとプレミアムフレックスがそれぞれ受託20kgつき、という整理になっています。上位の運賃はさらに手厚いことが多いので、予約画面の内訳を必ず自分の目で確かめてください。
僕が乗ったエアアジアXのプレミアムフラットベッドのような上位クラスは、座席の快適さだけでなく荷物の扱いも含めた値段になっています。荷物を多めに預ける前提の旅なら、追加料金を積み上げるより最初から上のクラスを取ったほうが総額で近くなることがあります。往復の総予算の考え方はタイ旅行の予算のほうで書きました。
受託手荷物の「1個」にも上限があります
預ければ何でもいい、というわけでもありません。エアアジア公式のガイドには、受託手荷物1個あたりの制限がはっきり書かれています。
– 大きさ:81cm(高さ)× 119cm(幅)× 119cm(奥行き) を超えないこと
– 重さ:1個あたり32kg を超えないこと
大きさのほうは、普通のスーツケースならまず引っかかりません。効いてくるのは32kgのほうです。
たとえば受託手荷物を多めに買ったとしても、それを1個のスーツケースに全部詰めて32kgを超えると、その荷物は受け付けてもらえません。総量とは別に、1個あたりの上限があるという二段構えです。荷物が多い旅なら、最初から2個に分ける前提で考えたほうが安全です。
購入できる重量の刻みは予約画面で選ぶ形式ですが、選択肢は路線や時期で変わるので、ここでは具体的な数字を挙げません。予約時に自分の画面で確認するのが確実です。
関空発でやっている段取り
僕が関西空港からエアアジアで飛ぶときの流れも書いておきます。関空発の他社便でも大枠は同じです。
前の晩に、機内持ち込みの2個をまとめて量る。ここで7kgを超えていたら、その場でメインのバッグから何かを抜くか、オンラインで受託手荷物を足すかを決めます。空港に判断を持ち越さない。これだけです。
空港に着いたらチェックインを済ませ、そのあとは保安検査を通ってから食事にしています。関空のT1は2026年6月に保安検査後のエリアが大きく広がったので、今は検査を抜けてから食べるほうが選択肢が多いんです。ここは前提が最近ひっくり返ったところなので、久しぶりに関空を使う人ほど確認しておく価値があります。

通信まわりは離陸前に済ませておくのが楽です。タイのSIMとeSIMは日本にいるうちに用意できますし、万が一のSIMを失くしたときの対処も先に頭に入れておくと安心します。到着後の両替はバンコクの両替にまとめました。
帰りの荷物は、行きより必ず重くなります。バンコクのお土産を買うつもりなら、復路の受託手荷物は行きより多めに買っておくのが結局いちばん安上がりです。タイ国内を移動する場合も、国内線のLCCはやはり手荷物が有料なので、同じ計算が必要になります。
よくある質問
機内持ち込みの7kgは、空港で必ず量られますか
必ずではありません。ただ、量られる前提で用意しておくのが結局いちばん安く済みます。カウンターで量られなくても、搭乗ゲートで見られることがあります。ゲートで預けることになると、公式の案内にあるとおりゲートでの手荷物料金が適用される場合があります。
上着やお土産の紙袋は、2個のうちに入りますか
着ている上着は手荷物として数えません。問題になりやすいのが空港で買った紙袋です。免税店の袋を持っていると、メインのバッグと身の回り品に加えて3個目になる形になります。搭乗前にメインのバッグへ入れてしまうのが無難です。
身の回り品の「奥行10cm」は、実際どのくらい厳しいですか
エアアジアが公式に決めている数字がこれです。前の座席の下に収まることが2026年4月から明文化されたので、以前より曖昧に通せる余地は減っていると考えたほうがいいです。厚みのあるリュックを「身の回り品」として通す前提の荷造りは避けるのが安全側の選択になります。
受託手荷物は、出発当日でも買えますか
空港のカウンターで買えます。ただし公式が「予約時がいちばん安く、予約変更時、空港カウンターと上がっていく」と明記しているとおり、当日購入がいちばん高いです。オンラインでの追加は出発が近づくとできなくなるので、当日朝に思い立つのではなく、前夜のうちに決めてしまうことをおすすめします。
スーツケース1個に、買った受託手荷物を全部詰めていいですか
いいえ。総量とは別に1個あたり32kgの上限があります。たとえば多めの重量を購入していても、1個のスーツケースが32kgを超えるとその荷物は受け付けられません。荷物が多いなら最初から2個に分ける前提で組んでください。
2026年4月の新ルールで、エアアジアのサイズ規定は変わったのですか
定期航空協会のガイドラインはサイズの数値そのものを定めていません。「前の座席の下に入る大きさ」「自分で頭上の棚に収納できること」という考え方を示し、詳細な数値は各航空会社が規定するとしています。ですのでエアアジアの数値(56×36×23cmと40×30×10cm、合計7kg)を見るのが正解です。変わったのは数値ではなく、運用の厳格さだと捉えてください。
まとめ
エアアジアの手荷物でつまずく理由は、だいたい次の3つに集約されます。
この記事の要点
① 7kgは2個の合計。バッグ1個ぶんではありません
② 2026年4月1日から、日本発着の便に「前の座席の下に入ること」「自分で棚に上げられること」の2項目が加わりました
③ ネット記事でよく見る「奥行20cm」は協会が決めた数字ではなく、エアアジアの規定は10cmです
④ 足りないときは予約時に買うのがいちばん安く、空港カウンターがいちばん高い
安いチケットで飛ぶということは、含まれていないものを自分で組み立てるということです。荷物はその代表格で、ここを事前に決めておくだけで、旅の入り口の気分がだいぶ変わります。
前の晩に2個まとめて量る。超えていたらその場で決める。僕がやっているのは、結局これだけです。




