パッタイは、タイ料理の中でも日本人にいちばん頼みやすい一皿だと思います。
米の麺を甘酸っぱいタレで炒めて、もやしとピーナッツを添えた焼きそば風の料理。辛さは後から自分で足す形なので、タイに慣れていない人でも安心して食べられます。
僕はタイに30回以上通ってきましたが、バンコクで「名前の知られたパッタイを食べたい」と言うと、ほぼ必ず旧市街の店の名前が挙がります。この記事では、その代表のティップサマイと、ミシュランのビブグルマンに載っているファイタルーの2軒を比べて、頼み方や行く時間まで整理していきます。
先に押さえておきたいこと
パッタイの老舗を一度食べたいならティップサマイ、2026年版ミシュランのビブグルマンに載る店を選びたいならファイタルーです。ティップサマイ本店は火曜定休なので、火曜はファイタルーかモールの支店に切り替えると予定が崩れません。どちらも旧市街にあり、歩いて行き来できる距離です。
パッタイは戦時中に広まった炒め麺
パッタイは、タイ語で「パット」が炒める、「タイ」がタイという意味です。もとは「クイッティアオ・パット(炒めた米麺)」と呼ばれていた料理で、第二次世界大戦中、国産の食材を使うよう呼びかけていた時代に広まったとされています。
いまでは屋台、食堂、フードコートのどこでも見かける定番になりました。ただ、同じパッタイでも、具や仕上げ方で頼み分けられるのを知っておくと、有名店でメニューを前に迷わずに済みます。
| 呼び方 | 中身 | こんな日に |
|---|---|---|
| 基本のパッタイ | 干しエビと卵、もやし、ニラ | まずは素の味を知りたいとき |
| 海老油のパッタイ | 海老の頭からとった油で炒める | コクのある濃い味が好きなとき |
| 卵包みのパッタイ | 薄焼き卵で麺と海老を包む | ティップサマイの看板を食べたいとき |
| ソンクルアン | 大きな海老、カニ、イカ、青マンゴー | 人数がいて贅沢に分けたいとき |
テーブルには砂糖、粉唐辛子、ナンプラー、酢の調味料が置いてあることが多く、味が物足りなければ自分で足して食べます。ライムを搾ってから、少しずつ唐辛子を足すくらいがちょうどいいと思います。

ティップサマイは卵包みとオレンジジュース
ティップサマイは、マハチャイ通りにあるパッタイの専門店です。公式サイトによると、1939年に運河の舟でパッタイを売り始めたのが始まりで、近くの交差点の名前から「パッタイ・プラトゥーピー」と呼ばれていました。1966年に今の店名になっています。
看板は、海老油で炒めた麺と大きな海老を薄焼き卵で包んだパッタイです。センチャンと呼ばれる細めの平たい米麺を使い、炭火のコンロで炒めるのが店のこだわりとして公式に紹介されています。ミシュランのビブグルマンにも選ばれてきた、バンコクのパッタイを語るときに必ず名前が出る店です。
名物のオレンジジュース
ティップサマイは、パッタイと同じくらいオレンジジュースでも知られています。ボトルで出てくる搾りたてで、2025年5月の情報では本店で160バーツ。パッタイより高いこともあるので、注文前にメニューの値段を見ておくと驚かずに済みます。
価格は、時期と店舗で書かれている金額がかなり違います。2025年の情報を並べると、基本のパッタイが100バーツ前後、卵包みが150〜170バーツほど、ソンクルアンは400〜500バーツほどです。日本円にすると基本のパッタイで400円台なので、屋台よりは高めでも、旅行中の一食としては払いやすい値段だと思います。

ファイタルーは炎を上げて炒める一皿
ファイタルーは、民主記念塔の近く、ディンソー通りにあるパッタイの店です。店名はタイ語で「火が突き抜ける」という意味で、鍋から炎が上がるほどの強火で一気に炒めるのが名前の由来になっています。
2026年版のミシュランガイド・タイでもビブグルマンに選ばれていて、手頃な値段でしっかりした料理を出す店として扱われています。シェフのアンディ・ヤンさんのレシピで、看板は豚肉のパッタイです。
| ティップサマイ本店 | ファイタルー(ディンソー通り) | |
|---|---|---|
| 店の特徴 | 1939年創業(1966年に現店名) | シェフのアンディ・ヤンさんの店 |
| 看板 | 海老と卵包みのパッタイ | 強火で炒める豚肉のパッタイ |
| 価格の目安 | 100バーツ前後〜(卵包み150〜170バーツほど) | 看板75バーツ、海老入り185バーツという紹介あり |
| 営業時間 | 9:00〜24:00(公式) | 10:00開店、閉店は情報源で差あり |
| 定休日 | 火曜 | 年中無休とする情報が多い |
| ミシュラン | 過去にビブグルマン掲載 | 2026年版ビブグルマン |
ファイタルーの閉店時刻は、20時、21時、23時、24時と情報源によって割れています。10時に開くことはどの情報でも共通しているので、昼から夕方に行くのがいちばん確実です。
価格も紹介記事によって差があり、150〜250バーツの幅で書いているガイドもあります。卵包みのような贅沢系のティップサマイに対して、こちらは豚肉と香ばしさで食べさせる一皿という違いで考えると選びやすいです。
営業時間の食い違いに気をつけて
ティップサマイは、英語のブログやガイドで「夕方17時ごろから深夜まで」と書かれていることがあります。古い情報がそのまま残っているもので、今の公式サイトは本店を毎日9時〜24時、火曜定休としています。
つまり、今は昼でも食べられます。夜の時間帯は行列ができやすいので、昼から夕方の早い時間に合わせるのが入りやすいはずです。
名前の似た支店と取り違えない
ティップサマイには、ナコーンパトム側のサイ4にも店があり、こちらは11時〜20時と本店と営業時間が違います。地図アプリで検索するときは「プラトゥーピー」の本店を選ぶようにしてください。2018年ごろの記事に出てくるキングパワー内の店は、今の公式の店舗案内には見当たりません。
僕ならこう選ぶ
はじめてのバンコクで「元祖と言われるパッタイを一度食べてみたい」なら、僕はティップサマイの本店をすすめます。卵で包まれた見た目も含めて、写真で見たことのある一皿をそのまま確かめられるからです。
逆に、ミシュランの今年のリストを手がかりに店を回っているなら、ファイタルーが向いています。強火で香ばしく仕上げる豚肉のパッタイは、卵包みとはまた違う方向の味なので、ティップサマイを食べたことがある人の2軒目にも合うと思います。

2軒は1km足らずの距離なので、昼に1軒、夕方にもう1軒という食べ比べもできます。ファイタルーは1皿が小ぶりだという口コミもあるので、2人で行くなら別々の種類を頼んで分けるのも手です。
旧市街までの行き方
ティップサマイの最寄りは、MRTブルーラインのサムヨート駅です。駅からマハチャイ通りへ歩いて10分前後で、近くにはゴールデンマウントのあるワット・サケットがあります。
ファイタルーは、ストリーウィッタヤー女子校の向かいにあります。ワット・ボウォンニウェートから歩いて5分ほど、民主記念塔からも近く、カオサン通り側から歩いて来ることもできます。
昼の暑い時間は、MRTの駅から歩くだけでも汗をかきます。Grabやタクシーの使い分けはバンコクの移動手段の記事に、王宮やワット・ポーと合わせて回るならバンコクの寺院巡りの記事に順番をまとめています。
旧市街まで行けない日はモールで
ティップサマイは、アイコンサイアムとサイアムパラゴンにも店を出しています。旧市街まで行く時間がない日や、火曜日に食べたい日は、買い物ついでにモールの店を使うのが手軽です。
モールの店は本店より値段が高めで、サービス料と税金が加算されることがあります。冷房の効いた店内で落ち着いて食べられる分の差額だと思えば、割り切りやすいです。アイコンサイアムへの行き方はアイコンサイアムの記事に書いています。

有名店にこだわらなければ、ローカル食堂やフードコートでもパッタイは定番メニューです。街なかの食堂の選び方はバンコクのランチの記事で、エリアごとに紹介しています。
パッタイで迷いやすいところ
パッタイは辛いのか、と気になる人もいると思います。麺そのものは甘酸っぱい味つけで辛くなく、辛さはテーブルの粉唐辛子で足す形です。辛いのが苦手なら、唐辛子には手をつけずにライムだけ搾れば大丈夫です。
カオパットとの違いもよく聞かれます。カオパットはご飯を炒めるタイ風のチャーハンで、パッタイは米の麺を炒める料理です。ご飯ものの気分ならバンコクのカオパットの記事、辛くない鶏ご飯ならバンコクのカオマンガイの記事も合わせてどうぞ。
行く前にこれだけ
ティップサマイ本店は9時〜24時で火曜定休、ファイタルーは10時開店で閉店時刻は情報源で割れています。価格は時期と店舗で差が大きいので、表の金額は目安として見てください。出かける前にGoogleマップで当日の営業だけ確認しておくと安心です。





