チャトゥチャック市場の行き方を調べると、どの記事もだいたい同じことが書いてあります。土日の9時から18時、MRTカンペンペット駅からすぐ、迷ったら時計塔を目印に。
この3つ、半分くらいしか当てになりません。
時計塔のまわりは今、バンコク都が再整備の対象にしているエリアです。しかも今年の2月にはMRT側の入口付近で火事があって、焼けた区画がそのまま塞がっている可能性があります。目印にしていた場所と、地図に載っている店の並びが、両方とも動いているところなんです。
そして「平日は閉まっている」も、正確ではありません。買うものを選べば、水曜でも木曜でも行けます。
チャトゥチャック市場、行く前に押さえること
本番は土日の9時〜18時。行きはMRTブルーラインのカンペンペット駅、2番出口が最短です。平日に行くなら、毎日開いていて冷房の効いているMixt Chatuchakを目的地にすると空振りしません。支払いは現金が基本、両替は市場に着く前に済ませておいてください。
MRTカンペンペット駅の2番出口が、いちばん市場に近い
最寄り駅の候補は3つあります。MRTブルーラインのカンペンペット駅、同じくチャトゥチャックパーク駅、そしてBTSスクンビット線のモーチット駅。どれも徒歩5〜10分の圏内です。
ただ、この3つは同じではありません。カンペンペット駅だけは、出口を上がるとほぼ市場の内側に出ます。他の2駅は公園を回り込むぶん、炎天下を歩く距離が長くなります。
| 駅 | 路線 | 市場までの体感 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| カンペンペット | MRTブルーライン | 2番出口を上がるとほぼ市場の中 | とにかく最短で入りたい |
| チャトゥチャックパーク | MRTブルーライン | 公園を回り込んで徒歩5〜10分 | 公園側から歩いて入りたい |
| モーチット | BTSスクンビット線 | 高架から下りて徒歩5〜10分 | スクンビット方面から乗り換えなしで来たい |
カンペンペット駅の2番出口には、スーツケースが入る大きさのコインロッカーが並んでいます。黄色い筐体なので目立ちます。チェックアウトを済ませた最終日に寄って、荷物を預けてから市場へ入り、そのまま空港へ向かう、という組み立てが成立するのはこの駅だけです。

「バンコクの電車は20バーツ」は、旅行者には効きません
ここが今いちばん誤解されているところです。
2025年10月にバンコクの都市鉄道で20バーツの均一運賃が始まった、という話が日本語の記事にもだいぶ広まりました。僕もそう理解していたんですが、条件を読むと話が違いました。
この均一運賃は、Tang Ratというアプリで事前に登録して、タイ国民のIDカードを紐づけた人が対象です。外国人旅行者も、長期で住んでいる外国人も、対象外。パスポートで登録して使うことはできません。旅行者が払うのは、これまでどおりの距離に応じた運賃です。
⚠ 交通費を20バーツ前提で組まない
市内から市場までMRTで20バーツ、と見積もっていると、実際の運賃はそれより高くつきます。しかも政府は今、17〜45バーツの登録カード方式へ制度を組み直す作業を進めていると報じられています。制度そのものが動いている最中なので、券売機の表示か駅の運賃表で確認するのがいちばん確実です。
BTSとMRTの乗り方そのものや、Grabとタクシーの使い分けはバンコクの交通手段をまとめた記事に書きました。市場までの1回の移動なら、素直に電車が速いです。土日の午前中は道路がそれなりに混みます。
開いている曜日は、買うものによって変わる
全体が開くのは土曜と日曜だけ。ここは動きません。約15,000軒の店がぎっしり並ぶ、あの状態になるのは週末だけです。
平日は「閉まっている」というより、開いている部分が限られます。
| いつ | 開いているもの | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 土・日 | 市場全体 | 9:00〜18:00 |
| 金の夜 | 卸売中心 | 18:00〜24:00(21時ごろ閉める店が多い) |
| 平日の昼 | 植物セクションのみ | 7:00〜18:00(曜日は下記参照) |
| 毎日 | Mixt Chatuchak(冷房付きモール) | 月〜木10:00〜20:00/金〜日・祝10:00〜22:00 |
植物セクションが開く曜日は、情報源によって書いてあることが違います。市場側の英語ページは水曜と木曜、タイ国政府観光庁の日本語ページは木曜と金曜。どちらかが古いのだと思いますが、僕には判断がつきませんでした。
なので平日に植物目当てで行くなら、前日に現地の案内かホテルのフロントで確認してください。木曜だけは両方の情報が重なっているので、平日に賭けるならそこが安全牌です。
金曜の夜は、卸売の時間です。業者がまとめ買いする前提の安値で、同じ柄のTシャツを10枚単位で買うような場所。小売で売ってくれる店もありますが、1点ずつ見て回る冷やかしには向きません。土曜の午前に来られるなら、そちらのほうがずっと楽しめます。
平日に行きたいなら、Mixt Chatuchakを目的地にする
市場のほぼ中央に、Mixt Chatuchakという冷房の効いたモールがあります。ここは毎日開いています。
平日の月曜から木曜が10時から20時、金土日と祝日は10時から22時まで。屋内に店がぎっしり入っていて、フードコートは30バーツ台から食べられます。屋外の市場が閉まっている日でも、ここだけは動いている。
Mixt Chatuchak
住所は 8 Kamphaeng Phet 3 Rd, Chatuchak, Bangkok 10900。市場の中央付近で、MRT・BTSどちらの駅からも歩けます。すぐ裏手にはJJ Mallという7階建てのモールもあって、こちらも全館冷房・平日10:30〜20:00/週末10:00〜20:00です。
正直に言うと、屋外の市場の「掘り出す感じ」はここにはありません。値段も屋台より少し上がります。それでも、週末に日程が合わない人や、炎天下を3時間歩ける自信がない人にとっては、これがいちばん現実的な選択肢です。

僕が最初にチャトゥチャックへ行ったときは、7月の土曜の13時台に着きました。到着から40分で汗だくになって、涼しい場所を探して結局モールに逃げ込んでいます。冷房のある逃げ場がどこにあるかを先に把握しておくのは、この市場では戦術のうちです。
時計塔を目印にするのは、もうやめました
チャトゥチャックの攻略記事には必ず時計塔が出てきます。市場の中心にある塔で、迷ったらここに戻れ、という定番の道案内です。
ところが2025年2月、バンコク都庁が時計塔エリアの529店舗を撤去して、このエリアを新しいランドマークとして再整備すると発表しました。対象店舗の契約は2024年10月末で切れていて、猶予期間を置いてから撤去する計画でした。市場全体で約10,000区画のうち2,000区画ほどが空いている、という報告も同時に出ています。
2026年7月の時点で、この工事がどこまで進んだのかを示す続報は見つけられませんでした。終わっているのかもしれないし、途中なのかもしれない。
はっきりしているのは、時計塔まわりの店の並びは、数年前の攻略記事と同じではない可能性が高いということです。セクション番号と店の位置を細かく載せた地図を持っていくのはいいんですが、そのとおりに店があると期待しすぎないほうがいいです。
Googleマップで自分の現在地を追いながら歩くほうが、結局は速い。市場全体で1.13平方キロメートルあるので、方角さえ合っていれば目当てのゾーンには着きます。
今年2月の火事で、MRT側の入口付近が変わっているかもしれない
もう1つ、地図が当てにならなくなっている理由があります。
2026年2月9日の夜、Gate 1付近で火災がありました。場所はMRTカンペンペット駅側、セクション17のあたり。2ブロック分、合計28店舗が焼けています。月曜の22時40分ごろという営業時間外の出火だったので、けが人は出ませんでした。
被災した区画の今
火災直後、被災エリアは安全確認のため封鎖されましたが、市場全体としては通常どおり営業が続いています。ただ、その後の復旧がどこまで進んだのかを確認できる情報は見つかりませんでした。焼けた区画が今も塞がっている可能性はあるので、カンペンペット駅から入ってすぐの一角だけは、事前に調べた店番号どおりに歩けないかもしれないと思っておいてください。
このあたりを含めて、僕がこの記事で言いたいのは「古い攻略記事の地図を信じ切らない」の一点です。市場そのものは元気に営業しています。変わっているのは細部だけ。

何時に入って、何を持っていくか
土日に行くなら、9時台に入るのが有利です。
午後になると人の密度が上がって、通路をまっすぐ歩けなくなります。しかも夕方前に店じまいを始める店が出てくるので、遅く行くと「開いていない店」が増える。混雑と品揃えの両方で、午前中に分があります。
暑さのピークを外したいなら夕方という手もありますが、その場合は閉店が早い店を捨てることになります。どちらを取るかです。
持っていくものは、現金と水と帽子。これで足ります。
支払いは現金前提で
カードやQRコード決済に対応している店はまだ限られていて、多くは現金のみです。市場に着いてから両替所を探すより、手前で済ませておくほうが確実にレートも良くなります。両替のやり方はバンコクの両替をまとめた記事に書きました。
屋根のある通路が多いので直射日光は避けられますが、風が通らないぶん蒸します。日陰にいても汗は止まりません。何月に行くかで消耗度がまるで変わるので、旅程を組む段階ならタイのベストシーズンの記事も見ておいてください。
お土産をまとめて買うなら、どこで何を買うか
チャトゥチャックは、バンコクのお土産を一箇所で片付けたい人にとっては効率のいい場所です。
セクションの割り当てはだいたい決まっていて、1が古本、2から4がファッション、5と6がヴィンテージ、7がアート、11と13がペット用品、25と26がインテリア。8つのゾーンに分かれています。
ただ、値段の相場と「どこで買うのが正解か」は品目によって違います。ばらまき用のお菓子はスーパーのほうが安いし、シルクやアロマは専門店のほうが品質が読めます。そのあたりの使い分けはバンコクのお土産をまとめた記事に整理してあるので、買う前に一度目を通すと無駄打ちが減ります。
市場のすぐ隣には、オートーコー市場という高品質な生鮮市場もあります。フルーツとお惣菜が別次元なので、チャトゥチャックで消耗したあとにここで完熟マンゴスチンを食べるのが、僕の定番コースです。詳しくはバンコクのグルメマーケットの記事に書きました。
半日をどう組み立てるか
チャトゥチャックだけで1日を使い切る必要はありません。市場は午前中がピークで、午後になると暑さと人で消耗します。
午前に市場、午後に冷房のある場所、という組み立てが素直です。MRTブルーラインで南下すればそのまま市内に戻れるので、夕方はリバーサイドへ移動してアイコンサイアムと川沿いを歩くコースが繋がります。買い物の日を1日にまとめてしまうやり方です。
バンコクで他にどこを回るか迷っているなら、バンコク観光の全体像をまとめた記事に主要スポットを並べてあります。市場の近くに泊まるべきかどうかは、バンコクのホテル選びの記事のエリア比較が参考になるはずです。
「週末しか予定が合わないんだけど、日曜の午後でも間に合う?」と聞かれることがあります。間に合いはします。ただ日曜の午後は、閉め始める店と人の多さが同時に来るので、市場を歩き回るというより「涼しい場所を探しながら少し買う」時間になります。土曜の午前が空いているなら、迷わずそちらです。
この市場は、目当てを1つ決めて行くと満足度が上がります。全部見ようとすると、1.13平方キロメートルに負けます。





